もしもパラメータが変わったら − 感度分析
数式にもとづく計画や仮説を立てて、Excelなどで結果の数値を出したとします。その前提の数値が変われば、当然結果の値も変わります。パラメータを変えてみて結果がどう変わるか分析する手法に「感度分析」があります。
【感度分析】
分析したいアウトプットをいくつかの変数(パラメータ)に分解し、その変数が変動したとき、アウトプットにどの程度の影響を与えるかを調べる手法。
ただ計算式や結果の数値だけを見せる場合と比べて、クライアントや上司への説得力は増します。また、分析結果をグラフなどにすれば、代理店にありがたがられます。
たとえば、とあるフォーラムにこんな疑問が寄せられました。
約27kmの距離を自転車通勤しています。信号にちょくちょく止められるためか、元気で速く走れたときも、あまりスピードが出せなかったときも、所要時間は90〜95分と大きく変わりません。
信号待ちがまったくなかったとしたら、所要時間90分なら平均時速18km/時です。95分かかったときは、その時間差がそのまま速度の違いとなり、17.1km/時が平均時速になります。そこで、感度分析をするために、前提を決めます。
- 所要時間は最短90分、最長95分とする。
- 信号待ちの時間は、平均時速が変わっても同じとする。
速いときの平均時速を18km/時から30km/時まで1km/時単位で変えてみて、遅いときの平均時速がどう変わるか調べてみましょう。プログラムを使えば簡単なループ処理(forステートメント)で計算できます。
90分の時速 | 走行時間 | 信号待ち | 信号待ち率 | 95分の時速 | 速度比率 |
18 | 90.0 | 0.0 | 0.0% | 17.1 | 94.7% |
19 | 85.3 | 4.7 | 5.3% | 17.9 | 94.5% |
20 | 81.0 | 9.0 | 10.0% | 18.8 | 94.2% |
21 | 77.1 | 12.9 | 14.3% | 19.7 | 93.9% |
22 | 73.6 | 16.4 | 18.2% | 20.6 | 93.6% |
23 | 70.4 | 19.6 | 21.7% | 21.5 | 93.4% |
24 | 67.5 | 22.5 | 25.0% | 22.3 | 93.1% |
25 | 64.8 | 25.2 | 28.0% | 23.2 | 92.8% |
26 | 62.3 | 27.7 | 30.8% | 24.1 | 92.6% |
27 | 60.0 | 30.0 | 33.3% | 24.9 | 92.3% |
28 | 57.9 | 32.1 | 35.7% | 25.8 | 92.0% |
29 | 55.9 | 34.1 | 37.9% | 26.6 | 91.8% |
30 | 54.0 | 36.0 | 40.0% | 27.5 | 91.5% |
所要時間90分のとき平均時速25km/時だとすると、信号待ち時間が25.2分となり、所要時間の28.0%を占めます。同じ時間信号待ちをしたなら、所要時間95分のときの平均時速は23.2km/時です。速いときの平均時速を30km/時まで上げると、所要時間の40%が信号待ちになります。すると、平均時速を27.5km/時まで下げても、5分差の95分で目的地に到着する計算です。
この感度分析の結果を見て、計画や仮説を改めて見直します。納得いけば信頼性が増します。そうでなければ、前提や計算方法に問題がないか考えなければなりません。